(被災地から)税金使い「偽り」、残念だ 東日本大震災

朝日新聞 2013/01/28

岩手県山田町が緊急雇用創出事業を委託していたNPO法人「大雪りばぁねっと。」(北海道旭川市)が資金不足に陥り、雇っていた被災者約140人全員を解雇した。
町は2012年度分の賃金と関連経費の計7億9千万円をすでに全額支払っていたが、NPOは8カ月で使い切ってしまった。NPOの岡田栄悟・代表理事によると、働く場の確保や町民の慰安、前年に建設した無料公衆浴場といった取り組みで支出がかさみ、数千万円の支払いを12年度に繰り越した。その穴埋めに使ったという。
町や県に提出した11年度の事業報告書も、岡田氏は「偽りだった」と説明。町と県は慌てて書類を精査し直している。
さらに、問題発覚後に町に提出した資料によると、現地団体幹部がリース会社をつくってNPO側から仕事を受注したり、リース会社がNPOの人件費を肩代わりしたりしていた。
NPOは、道内では700万円程度の事業規模だった。実力をよく調べず、100倍の仕事を任せ切りにした町の責任は重い。
復興予算が沖縄の道路に使われて話題になったが、被災地での税金の使い方が問われる事態といえる。町議会も百条委設置に動いている。
山田町は震災で800人が亡くなり、家屋の4割が被災した小さな漁師町だ。「復興に役立つと思って参加したのに」。元NPO従業員の男性(63)は肩を落とす。元従業員まで非難の目で見られがちだという。
震災からもうすぐ2年。被災地で残念な気持ちで取材をしている。

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